米国雇用環境に急ブレーキ、頼みの綱「バイデン追加経済対策」の実現度11月の米国雇用統計では、雇用環境の回復に急ブレーキがかかっていることが確認された。コロナ第3波の影響はいかほどか(写真はイメージです) Photo:123RF

12月4日に発表された2020年11月の米国雇用統計では、雇用環境の回復に急ブレーキがかかっていることが確認された。米国では新型コロナの感染状況が「第3波」を迎えて経済活動が抑制されており、雇用環境にも影響が及んでいる。現在も感染は収束の目途が立たず、当面の景気に冷や水を浴びせることが見込まれる。さらに、追加経済対策の議論が依然紛糾しており、バイデン新政権が発足する来年1月以降も厳しい状況が続く可能性がある。(伊藤忠総研 主任研究員 笠原滝平)

11月の米雇用統計に異変
非農業部門雇用者数はなぜ鈍化?

 2020年11月の米国雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月差+24.5万人と7ヵ月連続の増加となった。コロナ禍の雇用者数は、3~4月の2ヵ月で2000万人超減少し、コロナ前(2月)の85%の水準まで落ち込んだ。その後は回復が続き、11月には2月の94%の水準まで回復した。

 しかし、その増勢は趨勢的に鈍化している(図表1参照)。特に、11月は依然としてコロナ前に比べて1000万人程度の雇用が失われたままにもかかわらず、コロナ前と同程度の増勢にまで落ち込んだ。

米国雇用環境に急ブレーキ、頼みの綱「バイデン追加経済対策」の実現度