無事にMBOを果たした後も、1年半は睡眠時間3~4時間で休みなしで働いた。このままでは身体を壊してしまうと、週に1度は休みをとることにしたが、2年目には血を吐き、入院することになった。それでもすぐに退院して仕事を続けた。6カ月で12キロ痩せた。清川氏は「命を削って働いてきた」と振り返っている。
業態転換で他社を迎え撃つ
現在、タイヨーでは新しい業態にも挑戦している。ひとつは、超ローコストで運営する200坪ほどの店だ。入荷した商品はすぐに売場に並べ、在庫を持たないようにする。バックルームのスペースは不要になり、運用も通常の店の3分の1の人員で行う。
すでに10店舗ほどオープンし、すっきりと洗練されたデザインが好評だ。今後、既存店をこのタイプの店にどんどん転換していくつもりだという。
もうひとつは、スーパー内で薬を販売する売場を作ることだ。ドラッグストアは薬ばかりでなく、酒、米、生鮮などを格安で扱い、食品スーパーにとって手ごわい相手になっている。それに対抗して店舗で薬を扱えるようにする。
2016年より本部にモデル店舗を作って社員向けに薬の販売実験を始めた。現在は10店舗ほどで薬の売場を導入している。医薬品を販売できる専門職・登録販売者の育成も図り、140人ほどまで増えた。いずれはタイヨーの全店舗で展開したいという。
さらにもうひとつ、より安くより良いものを、より多くの方に利用してもらいたいと始めたディスカウント業態だ。今期、宮崎地区から始めている。
ものすごいスピードで改革を進め、新しい領域へ踏み出してきた。抵抗や反発は大きかった。だが、味方になってくれる人も大勢いたという。
「そんな方たちが必死になってやってくださいました。結果が出た時、協力してくださった方から『清川照美のために自分たちはがんばった』とおっしゃっていただいたことが一番うれしかったことです」(清川氏)。
道はまだまだ半ばだという。(終わり)