キャッシュレス決済を拡大すべき本当の理由

 しかしながら、筆者は今後もキャッシュレス決済は増えるであろうし、また増やしていくべきだと考えている。その理由は3つある。

(1)家計管理の面での利便性

 お金を使う側から考えると、支出管理については現金に比べてキャッシュレス決済は圧倒的に利便性が高い。最近は家計簿アプリが広く使われるようになってきていて、どこでいくら使ったのか?そして支出の種類まで自動的に仕分けしてくれる機能はありがたい。つまりお金の流れがキャッシュレスの方がよく見えるのだ。支出の多くを現金でまかなっているとこういうわけにはいかない。

 さらに心理的な面で考えてもキャッシュレスの方が良い面がある。よく言われるのはカードや電子マネーだと気軽なので、つい使い過ぎてしまうというが、これは必ずしもそうとは言えない。むしろ現金の方がいつどこで使ったのかがわからないことが多い。

 前述の家計簿アプリだと使えば記録がすぐに残るので確認するのも楽だ。「財布の中に2万円入れていたはずなのに、見たら5千円しか入っていない。どこで使ったんだろう?」ということはよく経験することだ。

 特によくありがちなのが1万円札が残っている時はなかなか使わない(崩せない)のに一旦崩してしまうと、あっという間にどこかになくなってしまうという現象だ。これもある種の心理的バイアスなのだが、カードを使っていればそういう妙なバイアスは起こりようがない。

(2)社会的コストの低減

 今度は商品やサービスを提供する側から見ると、キャッシュレスにすることで業務コストが減ることが多い。現金の場合、商店であれば多くのおつりを用意しておかなければならないし、銀行のATMだって、メンテナンスのコストはかなり高いものになる。身近なところではタクシーに乗って、高額紙幣しかなかった場合、釣り銭に困るという経験はないだろうか?今は多くのタクシーでカードも使えるし、電子マネーが使える会社も増えている。さらに配車アプリを使えば支払いさえせずに降車することもできる。恐らくドライバーの人にとってもその方がありがたい場合が多いだろう。

 ただ、販売側からすると、日本のカード決済手数料の高さや入金サイクルの長さは非常に大きなネックになっていると言えるだろう。いずれカード決済の加盟店手数料の引き下げは、現在話題になっている携帯電話料金と同じように議論される方向になるのではないだろうか。