外国人留学生にとっても楽しみの1つだった学園祭外国人留学生にとっても楽しみの1つだった学園祭(著者撮影)

この冬、大学や大学院は受験シーズンの本番を迎えたが、新型コロナウイルスの影響で例年とは異なる受験体制になり、日本在住の中国人留学生たちが翻弄されている。コロナ禍で、スケジュールが変更となったり、オープンキャンパスが中止されたり、面接や小論文がオンラインに切り替わったりしているからだ。(ジャーナリスト 姫田小夏)

外国人留学生向けの大学入試が急に変わった

 今年、都内の某美術系私立大学が突如、外国人留学生向けのAO入試を中止した。中国出身のMさんは、同大学の建築デザイン学科を受験するために、作品提示と面接の準備を黙々と進めてきたのだが、「用意してきた作品が無駄になってしまいました」と落胆する。

 同大学は受験日を2021年2月に延期し、さらに国語、英語、社会の学科試験を追加した。「日本の大学なら必ずどこかに入れるだろう」と、どこか気楽なところがあったMさんだったが、現在、入試対策の練り直しを迫られている。

 こうした混乱を招いた元凶は、言うまでもなく新型コロナウイルスである。この影響を受けて、今年 6月に予定されていた「日本留学試験(EJU)※1」と、7月に予定されていた「日本語能力試験(JLPT)※2」が立て続けに中止されてしまったのだ。

 この両試験の結果は、外国人留学生にとってなくてはならないものだ。大学によっては、「EJUの日本語科目450点満点のうち250点以上、もしくはJLPTでN2(5段階レベルの上から2番目の評価)に合格した者」などといった出願資格を明示するところもある。しかし、今年は外国人留学生がこの2つの試験を受験できなかったため、急遽、独自の出願資格を設ける大学も出てきたというわけだ。

※1は独立行政法人日本学生支援機構が主催
※2は公益財団法人日本国際教育支援協会と独立行政法人国際交流基金が主催