ケネス・メイカー氏は2015年、米ニューヨーク州バッファローにある小規模な私立大学、メダイル大学の学長に就任した。当時すでに経営は火の車だったと同氏は語る。入学者は減り続け、寄付金はなかなか集まらなかった。そこに新型コロナウイルスが猛威を振るった。キャンパスは閉鎖され、大学の収入は15%落ち込んだ。メイカー学長はこれを1つのチャンスと捉えた。評議会の承認を得て、同氏は大学教員のハンドブック(便覧)を運用停止にした。便覧に盛り込まれた「不可抗力」条項を発動したのだ。同氏は数人の教授を解雇し、大学の課程を2つ(国土安全保障と健康情報管理)減らした。教員の雇用を保障する「テニュア(終身在職権)」を廃止し、数十年来この大学の統治を定めてきた教員向け便覧を書き直した。
学生減に悩む米大学、教授の終身在職権も危うし
コロナ禍による変化が数世紀来の運営モデルを揺るがす
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