国債利回りが過去最低水準にあって市場の流動性が潤沢な中、各国中銀は新手の景気刺激策を模索している。欧州では当局が新たな方向を指し示し、銀行にさらにもうけさせようとしている。結果が期待外れとなっても、投資家は驚くべきではない。欧州中央銀行(ECB)は10日、「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」を5000億ユーロ(約63兆円)拡大し、銀行向けの新たな長期融資を発表した。景気の2番底回避に努めるクリスティーヌ・ラガルドECB総裁は、新型コロナウイルスの感染再燃に伴い金融情勢が悪化していると強調。「金利の問題というより、借り手に提示される融資条件の問題だ」と述べた。国債買い入れを増やしても、ほとんどこの問題の解決とはならない。それはユーロ圏諸国間の債務コストの差を埋める上で鍵となるツールだが――とりわけPEPPは相対的に貧しい国に重点を置いている――しかるべき成り行きとなっている。スペインが先頃発行した国債はマイナス利回りとなった。
ECBの金融政策、「銀行にフリーマネー」が全て
欧州中銀の景気刺激策、銀行が利益上げる「二重金利」政策に依存
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