日本人が英語ができないのは当たり前

本郷 たとえば「子どもにはいい暮らしをしてほしい」と思っても、その「いい暮らし」は地位が必要なのか、お金が必要なのかで違います。

 地位が欲しいなら官僚ですけど、お金が欲しかったら官僚になっちゃダメ。日本は、お金と地位を別々にするのが大原則で、江戸時代からそうなんです

 譜代大名は、お金は持たせてもらえないけれど政治には関われます。逆に、外様大名は豊かな領地はもらっているけれど、政治には一切関われない。これは日本人の知恵なんです。

加藤 いまの若い子たちは、お金がなくても上手に暮らしていける工夫を知っていますよね。仲間とシェアハウスに住んで、田舎でもリモートワークで最先端のことをやって、居酒屋に行かずに家飲み、というような。

本郷 賢くなっていますよね。ただし、旧来の学力で比較してみると、明らかにバカになっています。だからと言って「バカになっている!」とことさらに騒ぐのもおかしい。時代、環境によって必要な学問、賢さは違うのですから。

 たとえば、自国でちゃんとした大学院の教育を受けられず、アメリカに行かない限り自国では偉くなれないという国に住んでいる人は、英語を必死に勉強します。一方、日本ではそのために必ずしも外国に出る必要はないから、そこまで英語に必死になることもない。

 だから、アジアの中で日本人は英語ができないからといって、それはバカだということにはならないわけです。学問ってそういう面があるんです。

>>対談次回に続く

東大教授が語る「日本人が英語ができないのは当たり前」な理由