新型コロナで
MRワクチン接種率が低下

 日本でも今年、はしかを含むワクチン(麻疹・風疹2種混合[MR]ワクチン)の接種率は、新型コロナウイルス流行を背景に低下しているようだ。日本小児科学会は、新型コロナウイルスが騒がれ始めた今年2~3月の接種状況について、前年度までの同月接種本数と比べて以下のように報告している。

◎MR1期(1歳以上2歳未満):わずかな減少傾向
◎MR2期(小学校入学前の1年間):明らかな減少

 また、NPO法人「VPDを知って、子どもを守ろうの会」の調査でも、接種適齢である生後12~14カ月でのMRワクチン接種率を見ると、昨年12月以降に誕生日を迎えた1歳児の接種に遅れが見られたという。例年7~8割で推移してきたものが5~6割にとどまっている。

 その後の接種率回復状況は分からないが、少なくともナビタスクリニックでも、例年に比べて明らかな減少状態が続いている。

 WHOの掲げる「初回接種率と2回目接種率を95%以上」の目安について、日本は新型コロナ前までは「いい線」でいっていた。国立感染症研究所が10月に発表した昨年度の接種率は、日本全体で第1期95.4%、第2期94.1%だった。残念ながら今年はこうはいかないだろう。

 影響が出てくるのは、新型コロナが落ち着いてからだ。

 日本は2015年に、「土着性のウイルスの伝播が12カ月以上存在しない状態」としたWHOの基準をクリアし、はしかの「排除国」と認定された。しかしその後も、海外から持ち込まれたウイルスによる流行が、数年おきに繰り返されてきた。新型コロナが収束し、世界との行き来が正常化すれば、海外からのはしか流入は目に見えている。

 問題は、はしかに対する免疫が不足しているのが、今年の接種を逃した子どもたちだけではないことだ。そもそも「集団免疫」(多くの人が免疫を獲得することで、感染症の流行を防止できる効果)が脆弱(ぜいじゃく)なのである。