2020年は作曲家クルト・ヴァイル(1900~50年)の没後70年、そして2021年はヴァイルの夫人であり、歌手・女優のロッテ・レーニャ(1898~1981年)の没後40年に当たる。クルト・ヴァイルはユダヤ系ドイツ人で、第1次大戦と第2次大戦の戦間期ベルリン、つまりワイマール共和国のドイツ劇場文化に、モダンなポップスの色を吹き付けた作曲家である。夫人のロッテ・レーニャは2歳年上で、ヴァイルの作品を大量に歌い、演じていた。クルト・ヴァイルとロッテ・レーニャ夫妻は、2020年に意外なところから再登場してきた。(ダイヤモンド社論説委員 坪井賢一)
全編ブロードウェイ・ミュージカルの歌と楽曲を
ベルリン・フィルが初めて演奏したBlu-rayが発売
毎年大みそかに、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が「ジルベスター・コンサート」というガラを催す。今年の大みそかはコロナでどうなるかわからないが、2019年のこのコンサートのライブ(Blu-rayとDVD)が今年夏に発売された。
ベルリン・フィルといえば、世界最高峰といわれるクラシックの名門オーケストラで、この世界ではウィーン・フィルと並んで世界をリードする存在だ。
首席指揮者は2019/20年シーズンからイギリス人のサイモン・ラトルに代わり、ロシア出身のドイツ人、キリル・ペトレンコ(1972年~)が就任している。ペトレンコはすでにベルリン・フィルを指揮して、チャイコフスキー、ベートーヴェンといった伝統的なレパートリーの音源を発売している。
2019年ジルベスタ―・コンサートのテーマ(タイトル)は、なんと「ブロードウェイ・メロディー」だ。かつて、小澤征爾が2003年の夏の野外コンサートで「ラプソディ・イン・ブルー」などのガーシュイン・プログラムを演奏したことはあるが、全編ブロードウェイ・ミュージカルの歌と楽曲をベルリン・フィルが演奏したのは初めてではないだろうか。