日本史#7
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日常でもビジネスでも何が起こるか分からない時代。こうした時代を乗り越える唯一の手段が「歴史」だ。時代も登場人物も違えば、まったく同じ歴史をたどることはない。しかし、似たことはこれまで何度も起こっているのである。「想定外」という言葉は、歴史の不勉強による想像力の欠如から発せられる。それならば歴史に学ばない手はない。本稿では、会話形式で歴史を学ぶ。戦国の世が終わり平和が訪れるかと思われたが、スペインとポルトガルを中心に欧米列強が日本に迫っていた――。

「週刊ダイヤモンド」2020年2月25日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの
登場人物

晩年の秀吉は実は狂っていなかった?

本の虫課長 前回お話した通り、秀吉はついに天下統一を果たしました。しかし、出陣してくれた武将たちへ与える土地が不足します。領土拡大のために明を支配しようと考え、朝鮮へ案内役を依頼しましたが、朝鮮はこれを拒否。そのために朝鮮へ出兵した――と、思いますか?

渡辺フミオ はい。天下を取った秀吉はそのおごりから、朝鮮出兵を企てたんですよね。高校生のときに予備校でそう習いましたが……。

本の虫課長 従来の説はそうです。ただ、歴史研究というのは日々、新たな発見が生まれています。例えば、歴史研究者の平川新さん(東北大学名誉教授・平川新氏インタビュー)は、「単に領土拡大が目的であれば、なぜ隣接する朝鮮への侵攻を初めから考えなかったのか? なぜ明や天竺なのか?」と素朴な疑問を持ち、数多くの史料をひもときました。

泉岡マリ それこそ秀吉の誇大妄想では? 晩年の秀吉は狂ってしまったとか、よく本に書いてあります。

本の虫課長 秀吉の誇大妄想説は以前からよくいわれてはいますよね。その方が物語としては確かに面白い。ただ歴史研究者というのは、何の証拠もないのにそのような結論を出すことはありません。丁寧に史料を読み解いて事実を導き出します。現存する史料をひもといていった結果、秀吉の「征明構想」は、スペインやポルトガルへ対抗するためであったという説が増えてきているのです。

渡辺フミオ え! そうなのですか? 秀吉は世界領土分割構想を知っていたのですか?