ビジネスエリートが激動の時代を生き抜くヒントを、世界情勢、宗教、哲学などに学ぶ月1回の特別講義シリーズ。第5回は、米ハーバード大学をはじめ世界の大学で研究され、世界的文学作品として高く評価されている『源氏物語』から、女性の社会的地位向上への示唆を読み解く。(神戸情報大学院大学教授/国際教養作家・ファシリテーター 山中俊之)
2021年は「女性活躍」が
世界的なキーワードに
尾張徳川家の屋敷であった広大な敷地内に立つ、徳川美術館(愛知県名古屋市)。同館で開催している「読み継がれた源氏物語」展(2020年12月13日まで開催)にて、国宝「源氏物語絵巻」を見た。
平安時代の王朝文化を今に伝える名作であり、光源氏や藤壺、紫の上、明石の君、夕顔など、王侯貴族につらなる男女の悲喜劇を想像すると、心を揺すぶられる。
世界で読み継がれる源氏物語には、因果応報や男女の愛情の深さ・難しさなど、現代に生きるわれわれにも大きな示唆を与えてくれる。
ところで、世界では、米大統領選挙で当選を確実にしたジョー・バイデン次期大統領が、閣僚級の政府高官に多くの女性を登用している。女性初の副大統領就任となるカマラ・ハリス氏を筆頭に、米国中枢における女性の積極的な登用によって、世界中で女性の社会的活躍に焦点が当たるだろう。21年は、「女性活躍」がこれまで以上に世界的なキーワードになるのではないか。
そこで本稿では、数多く読み解ける示唆の中から、『源氏物語』における女性の社会的地位向上への示唆について、見てみることにしたい。