作り込みすぎないほうが
ホンモノを伝えられる

川原:極意ですね。「作り込みすぎないほうがいい」というのは、僕もNetflixで番組制作をする際にも強く意識している点です。僕らの番組はドキュメンタリー形式なので筋書きがありません。しかし、コンテンツとしては面白くしたいし、「片づけで人生が輝く」というコアメッセージは確実に伝えたい。

 では何をするかというと、“整えて、手放す”。テーマに合う人選やスタッフワークといった事前準備は完璧に設定するけれど、いざ撮影の現場に入ったら何も手を加えない。片づけを体験する家族がありのままの自分をさらけ出せるように、カメラも、照明も、録音も余計な手出しをしないように細心の注意を払う。

 すると、“らしさ”が画面ににじみ出てくる。本当の姿が表現できる。その結果、2019年にはNetflixで配信されたリアリティショーの中で世界で一番視聴された番組に選ばれるという栄誉をいただきました。

寺田倉庫元社長が語る「人間は抜けているくらいがちょうどいい」Photo by 竹井俊晴

中野:「本物のらしさを映し出す」という姿勢にはまったく同感です。