新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が発生して9カ月になるが、想定されていたようなコロナ関連の人身損害訴訟が次々に起こるような状況は、まだ現実のものになっていない。コロナウイルス感染拡大の責任を1つの企業に負わせることが予想以上に困難だというのが原告側弁護士の見方だ。感染した顧客が企業を相手取って起こす損害賠償訴訟は、クルーズ船を対象とした一連の訴訟を除けば、州および連邦裁判所でほとんど起きていない。米国商工会議所が特に経営上の打撃を受けやすいとしていた中小の小売業者や企業に対する訴訟は、さらにまれなケースだ。現行の法律では、雇用主に対する従業員の訴えはほとんどが労災補償に向けられているが、この制度では、弁護士が裁判で請求できる苦痛に対する損害額のような大きな金額が認められることは通常ない。
企業に対するコロナ関連訴訟、想定外に少ない理由
感染拡大の責任を1つの企業に負わせることは予想以上に困難との見方も
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