Oishii Farmのオープンイノベーションセンターを訪問した鈴木憲和農水相(右端)と同社の古賀大貴CEO(左から2番目)。日本政府は2040年までに、植物工場で生産した農産物や工場、施設などの世界シェアで3割の獲得を目指す(1月12日、東京都羽村市で撮影) Photo:JIJI
世界で初めて植物工場でイチゴの量産に成功したOishii Farmが5月13日、野村不動産やミスミグループ本社などから240億円の資金調達を実施したと発表した。同社はこれまでイチゴの生産性を5倍以上にするなど生産性を高めてきたが、さらに収穫量を1.5倍にするための秘策があるという。長期連載『儲かる農業 JA・豪農・アグリビジネス大激変』の本稿では、Oishii Farmが世界のイチゴ市場を制するための、他社にはまねできない挑戦の実態を明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)
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収穫作業は今後5年で全て自動化
人件費が高騰しても成り立つイチゴ工場とは?
イチゴの植物工場を世界で展開することを目指すOishii Farmが、シリーズC ファーストクローズにおいて、240億円の資金調達を実施した。2017年に創業した同社の累計調達額は525億円となった。空調設備工事を行う朝日工業社、野村不動産、ミスミグループ本社などが新たに株主に加わった。
Oishii Farmは、太陽光を利用せず、天候に左右されない完全閉鎖型といわれる植物工場に特化しており、高品質のイチゴを周年で、農薬を使わずに生産できるのが強みだ。
創業から間もない18年当時のイチゴの価格は、1パック(約230グラム)50ドルと高く、販売先は高級レストランに限られていた。しかし、植物工場内でのハチによる受粉の成功率を95%まで改善するなどして生産性を高め、23年には1パック9.99ドルを実現。その後、新型の大型工場を稼働させ、同7.99ドルで販売できるようになった。現在は、同社の植物工場がある米国東海岸やカナダのスーパーマーケットなどに販路を広げている。
ただ、植物工場には逆風が吹いていることも事実だ。人件費やエネルギー価格が高騰しているのだ。
こうした課題に、Oishii Farmは、収穫ロボットの導入や、太陽光発電による電力の自給などで対応してきた。同社の古賀大貴CEO(最高経営責任者)によれば、「すでに収穫の一部をロボットで対応できるようになっており、次の5年で全て自動化できる」という。
Oishii Farmの取り組みはエネルギーの自給などにとどまらない。実は、収穫量を1.5倍にする計画が動いているのだ。次ページでは、生産性を高めるためのOishii Farmの秘策を明らかにする。収量5割増の計画を、他社がまねすることが難しいのはなぜなのか。







