『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏「著者の知識が圧倒的」独立研究者の山口周氏「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

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[質問]
 将来がとても不安です

 通信制高校の高校二年です。

 読書猿さんをフォローして『独学大全』を購入してから色々変わってとても楽しいです。

 私は中学一年から不登校になり、なんとか通信制高校に通い始めて一年が経過したのですが、私が他の高校生と比べてすごく無知であることと、将来がとても不安で圧殺されそうです。

 というのも、今まで学習を軽視しており、九月ごろから「学習したい!」と思うようになったのはいいのですが、中学の頃から全く勉強をしていない分教科ひとつでも学習量が多く、自分自身の効率も悪いので時間がかかってしまいます。

 重ねて学校の課題や単位認定試験などもあって、中学の勉強に中々手を付けられていません。

 さらに「来年には十八才になる、中身がないまま約二年で二十歳になってしまうのは絶対に嫌だ」と時間が差し迫り焦燥感/無力感を募らせる一方です。(ただの中学時代のツケがきただけなのですが)

 進学しようにもそもそも学力が皆無、専門学校にも通える自信がありません。

 家庭環境にも恵まれ、習い事もさせてもらっている分、無知な自分がどうしても嫌で嫌で仕方ないです。

 何か改善方法や考えなど、アドバイスか何かをいただけたらとても嬉しいです。

 文章がおかしかったらすみません。よろしくお願いします。

必ず事態は改善します。理由は4つあります

[読書猿の回答]
 読書猿を、そして『独学大全』を、見つけていただき、ありがとうございます。

 今のところ、不安と焦りが、勉強のモチベーションを支えておられるのだと思いますが、事態は急速に改善するように私には思えます。

 そう考える理由その1は、あなたが毎日長い時間の学習を続けておられることです。これはすべての人に与えられた才能(ギフト)ではありません(たとえば私には与えられませんでした)。

 その2、家庭環境に恵まれておられることです。世の中には、学ぶ強い意志を持ちながら、周囲からの妨害によって学ぶことを邪魔されている人たちが大勢います。そうした邪魔立てに対処するエネルギーをすべて、あなたは学ぶことに振り向けることができます。

 その3、あなたが自分は無知であるとを知り、しかも、それに抗おうという、止むに止まれぬ強い気持ちをお持ちであることです。

 馬鹿にする訳ではありませんが、多くの高校生は自分が無知であることを知りません。

 再び私の例で恐縮です。思い出すと死にたくなるほど恥ずかしいのですが、私は17歳の頃、知るべきものはすべて知ってしまった、と本気で思っていました。

 実のところ、中学高校で習得できる知識、それに加えて17,8歳までに自分で本を読んだり体験したりして得られる知識は、その後に学ぶことの基礎となり前提となる大切なものですが、量と質ともに大したものではありません(だからこそ比較的短期間集中的に学ぶことで追いつき追い越すことが可能なのです)。

 今、あなたは同じようなことを学んできた同世代の人だけを比較対象にしているので、自分がとても遅れを取っているように感じておられるのだと思います。それは比較対象が狭く偏っています。

 私はあなたには進学することを勧めます。

 人類が手にした知識はどれほどのものか、そしてそうした知識を広げていくことがどういうことか、もっと知っていただきたいからです。あなたが無知に抗おうとする意志が真摯なものであると信じるからこそ、あなたが力を発揮すべき場所はもっと先にあるのだと言いたい。

 最後に、事態は急速に改善するように思える理由その4です。

 あなたは既に読書猿をご存じで『独学大全』を手にしておられます。

 多くの高校生はどちらもご存じないと思います。私が高校生の頃にはどちらもまだ存在しませんでした。

『独学大全』は、あなたのような無知に抗おうとする人のために書かれた書物です。どうぞ存分に活用してください。

 今のあなたには『独学大全』では、「ラーニングログ」と「メタノート」、そして第1部序文の漱石の手紙を特におすすめします。

 それでは、少し先のところで、あなたをお待ちしております。