『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏「著者の知識が圧倒的」独立研究者の山口周氏「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

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[質問]
 算数や数学が面白くなる本はありますか?

 自分は小学校の頃から、算数などが苦手で、そこから数学にも苦手意識を持ってしまいましたが、苦手なことも少しやってみようと思い、質問させていただきました。

「とっておきの一冊」もお教えします

[読書猿の回答]
 これはもう一杯あります。ただ、相性というものもあるので、種類の違うものをいくつか挙げながら、私の中の結論みたいなものを最後に述べたいと思います。

 まず有名どころで『数の悪魔―算数・数学が楽しくなる12夜』。ベストセラーになりました。よくできてます。ですが、これを楽しめる人は機会がなかっただけで、ほんとは数学の素質があった人なのではないか、という一抹の不安も生じます。

 『算数の呪い』。こちらは絵本で、呪いです。生きることのほとんどすべてが算数の問題として押し寄せてきます。夢に見そうです。ひねりもユーモアもあります。オチも気が利いています。

 遠山啓『算数の探検』。10巻本です。1970年台の古い絵本ですが、2011年に復刻版が出ました。図書館で読んでください。もうひとつ(日本語も)やさしいシリーズに、同著者で『さんすうだいすき』全10巻もあります。

 Newtonライト『数学のせかい 教養編』。上記2つは子ども向けでしたが、こちらは一応大人向けです。ページ数もずっと少ない一口サイズです。学ぶ本というより、商品カタログみたいに眺める本です(悪口ではないです)。

『東大の先生! 文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!』。いろいろある大人のやり直し向けの本の中では、おすすめかもしれません。数学が苦手だった大人たち向けで、今回のご質問のニーズに一番近いかもしれません。

『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』。シリーズ全部で12巻ありますが、これはその1冊目。内容も文章も素敵で素晴らしいのですが、数学を自力で好きになれた人たちが、もっと数学を楽しむための本、という気もします。

『数学を作った人びと』。数学者のおもしろ列伝です。数学のことはあまり分かりませんが、数学者という人たちを好きにはなれる本です。人から入るというのも、一つの入口です。

『数字オンチの諸君!』。面白げに書いてありますが、(個人としては)数学を分からないことでどれだけ損をしているか、(人類としては)どれだけ世界を危険な状態に陥らせているかを紹介した本です。数学をやらなくてはと動機付けられるかもしれず、数学オンチは自分だけでないと心慰められもするかもしれません。

『東西数学物語』。これは、ホントは教えたくない本という奴です。古今東西の数あそびと数学パズルをこれでもかというくらいに集めた労作です。しかも予備知識なしに楽しめるように書かれています。ある意味どんな数学史よりも数学の歴史が分かります。すごい。

 で、結論ですが、私のような数学が苦手な人間が、どういう数学の入門書が欲しいのか、ようやく形になりそうな気がしてます。しかし数学が苦手な人間に数学入門を書かせる出版社はないので(自分が担当だって遠慮したくなります)、何か作戦なり戦略が必要だとも思ってます(なので自分内Waiting Listでは順位はまだ低いです)。

 何か上手い手が思いついて、いつかお目にかけることができたらと思います。