中国の金融当局は、電子商取引大手アリババグループ傘下のフィンテック企業アント・グループに対して手綱を引き締めている。中核の決済事業に焦点を戻し、消費者向け融資、保険、資産運用などの成長分野の問題を是正するよう指示した。アリババグループは資産家の馬雲(ジャック・マー)氏の支配下にある。中国人民銀行(中央銀行)は27日の発表文で、アントの競合他社や消費者に対する行動を批判し、当局がコーポレートガバナンス(企業統治)に問題があるとした点にも言及。また、同社は規則の順守を「軽視」し規制逃れをしていると述べたが、詳細には触れなかった。26日には、人民銀、アントの代表者、金融監督当局の会合が開かれていた。アントは香港市場と上海市場で新規株式公開(IPO)を予定していたが、11月3日に中国当局が延期させた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、マー氏が金融規制を批判する発言をして政府指導部を憤慨させたことを受け習近平国家主席が自らIPO中止を決めたと報じた。