新型コロナウイルス予防ワクチンの需要が世界的に高まる中、増産を目指して奮闘する受託製造会社が難題に直面している。大量生産を達成しようにも労働力が足りないのだ。人手不足が深刻な米医薬品メーカーのエマージェント・バイオソリューションズは10月、最高経営責任者(CEO)を含む数人の上級幹部がバーチャル形式の採用フェアで応募を呼び掛けた。同社は英アストラゼネカや米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のワクチン生産を請け負っている。採用フェアには550人余りが参加した。だが、応募人数は必要数に達しなかった。それから2カ月余りがたつものの、エマージェントにはなお、倉庫作業員から品質保証アナリスト、サプライチェーン(供給網)管理ディレクターに至るまで、およそ200件の求人案件がある。採用フェアで応募を呼びかけたエマージェントのエグゼクティブ・バイスプレジデント、ショーン・カーク氏は「採用と増産が困難になっている」と語る。