N的:AUM(運用資産残高)と実際の純資産は違うからね。他人の投資資金や銀行借入だから全部がケネのお金じゃない。

――リーマンショックを生き残った唯一の国内独立系不動産ファンドのケネディクスですが、なぜこのタイミングで身売りなのでしょう?

N的:業績自体はそこまで悪くなっていないはず。考えられるのは二つ。一つはシンガポール籍のファンドであるARAのけん制。二つ目は今後の不動産マーケットが動乱した場合に備えた資金繰り。ファンドはリートも私募ファンドも銀行借り入れを利用してレバレッジを利かせることで利回りを高めて運用しています。だから投資家からの資金同様、借入金調達も超重要です。今は金融緩和でじゃぶじゃぶですけど、ファイナンス環境が急変すると、リファイナンスできないリスクが急浮上する。リーマンショック時などはその典型でした。

 ケネはその際にメインバンクであるSMBCのリファイナンスが辛くもつながりリーマンを生き延びた経緯があるんで、元々緑色の銀行とは縁が深いんですよね。いま旗幟を鮮明にしておくことは、今後の資金調達の観点からファンドの運営上もプラスになる。リーマン時も生き残った人はいち早く資金繰りを手当てした人たちでしたしね。

グル:やはり、今後のマーケットの下落を見越した身売りだと思います。(※5)AMという事業構造上、不動産相場が下落していくと一番最初に直撃を食らうのはAMフィーで、それを主要な売り上げとしている彼らは、コロナ禍が過ぎ去るまで冬の時代が続くと判断したんでしょうね。不動産相場下がる→DSCR(債務カバレッジ率)や鑑定額が下がる→AMフィーの支払いが一旦保留される→彼らAMは売り上げがないのに運用だけはしないといけない…みたいな。

――生き残りだけに、変調をいち早く嗅ぎ取ったのかもしれないですね。今後他社にも波及するのでしょうか…。

>>第4回『持続化給付金もらって現金じゃぶじゃぶ!なのに全く不動産が買えない裏事情【不動産業界インサイダー地下座談会(4)】』に続く