そう言う時には、孔子の次のような言葉がある。

「子曰はく、君につかふるには、その事を敬してその食を後にす」

 とにかく陰日向なく働き、金のことは言うなということだが、「君」を自分の職務だったり、お客様だったりと考えてみよう。それらに仕えるのに、給料や手数料や売り上げなど余計なことを考えずに働けば、人は必ずあなたのことを見ているという意味にも解することができる。

 これは真実だ。真面目に働いてるあなたのことを、誰も見ていないということなんてありえない。

 私だって銀行の時代に、初めて管理職への昇格の時期に不安で、不安で仕方がなかった。一生懸命にやったが、大変な競争率で、ライバルはエリートばかりだ。

 ある日、尊敬する上司が「お前が評価されないようなら、俺は銀行を辞めるよ」と言ってくれた。私は嬉しかった。たとえ昇格しなくても、私を見てくれている人がいるということに感謝した。

 あなただってそういう出会いがあるはずだ。必ずあなたのことを見ている人がいると信じて、陰日向なく働こうではないか。

 もしあなたが、自分はダメで、弱虫で、何も出来なくて、役立たずだと思っているとしたら、老子の「天下の至柔は、天下の至堅を馳騁(ちてい)す」の言葉を差し上げよう。

 老子は、最も柔らかい、弱いものが、最も堅い逞(たくま)しいものを思い通り走らせる、まるで水が岩石を動かすように、と言っている。