ワシントンとウォール街とではそもそも物事の受け止め方が異なるが、先週は違う惑星と言ってもいいほど、互いに何のかかわりもないように見えた。トランプ大統領の支持者の一部が6日、暴徒化し連邦議会議事堂に乱入した。議会では米大統領選の結果を認定する手続きが数時間にわたって中断し、民主党議員は大統領の弾劾を要求。この間、株式市場は力強く上昇し、最高値を更新した。表面的には、株価が上昇した理由は明白だ。5日にジョージア州で実施された連邦上院選の決選投票で民主党が2議席を獲得し、上院の支配政党となったことで、投資家は経済が上向き、利益が期待できると受け止めている。つまり、民主党が議会の上下両院で支配政党となったため、今月20日に大統領に就任するジョー・バイデン氏は追加の短期景気刺激策を成立させることができる、ということだ。JPモルガンのエコノミストが7日に明らかにした推計によると、9000億ドル(約93兆5000億円)の追加景気対策が成立すれば、今年の米国の経済成長率は4%未満から5.3%に改善するという。