米製薬大手イーライリリーが開発中のアルツハイマー病治療薬を巡る前向きなデータは、患者に希望をもたらすニュースであり、今のところは米金融街に勝ち組をもたらしている。イーライリリー株は11日の取引で約12%上昇した。プラセボ(偽薬)を投与された患者に比べ、同社のアルツハイマー治療薬「ドナネマブ」を18カ月間投与された患者は記憶力や日常生活を送る能力の後退が32%抑えられたとの発表が好感された。イーライリリーの時価総額は200億ドル(約2兆0830億円)近く押し上げられた。こうした効果はより大規模な臨床試験で確認する必要がある。悲しいことだが、製薬業界ではこれまで、アルツハイマー治療薬で有望性と株価上昇をもたらしながらも、その後に失速した例がいくつかある。イーライリリーのデータで対象となった患者はわずか272人だ。