戸建用地が
値上がりしにくい背景

 長期トレンドとして、戸建市場の中でも分譲のシェアが緩やかながら着実に増えてきたのは、土地価格が安かったことが背景にある。マンション用の土地価格が大幅上昇する中で、戸建用の土地価格が安かったのは、絶対的な需給バランスにある。

 戸建用地の供給の多くは「相続」によって発生する。それに対して、購入する人は、戸建に住みたいファミリー世帯になる。この比較を単純に理解するには、「死亡人口」と「出生人口」を見ればわかる。日本の高齢者の持家率は80%以上なので、亡くなると、その土地が売却予備軍になる。

 一方、少子化で子どもの数は年々減少しており、ファミリー世帯の新規増加数は減っている。すでに日本の総人口が減り始めた10年以上前からこの状態になり、年々悪化しているので、戸建用地の需給バランスは悪くなる一方なのである。

2021年は戸建用地を売る
千載一遇のチャンス

 親の家を相続した人は多い。そこには自分の想い出もあることが多く、住まないものの、維持費は固定資産税などに限定される。こうなると空き家状態にする人が多くなる。こうして増えているのが「空き家問題」の本質であり、この手の空き家が最近急増しているのだ。

 この空き家は世の中で言われているほど、問題ではない。なぜなら「市場に出て来ないから」だ。他人に貸し出すことも、売却されることもないので、市場の外に存在しているだけでそれ自体は悪さはしない。

 こうした戸建用地に、高値売却の可能性が出てきた。なぜなら、需給バランスが大きく緩んでいる市場にも関わらず、金融緩和で不動産購入に資金が流れやすいため、価格が上がりやすい。加えて、戸建の売れ行きが非常にいい状況が重なったのだ。

 これがいつまで続くかはわからず、一時的かもしれないだけに、親から相続した土地はこのタイミングで売りに出そう。今後、今以上に高く売れるタイミングは来ないかもしれない。日本の総人口減少と同じトレンドで、戸建用地価格は下がるのだ。このタイミングを逃す手はない。2021年は戸建用地を売る千載一遇のチャンスなのである。

(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)