独自技術が生きる「エクリプス クロスPHEV」、
レクサスHVとの違いは?

 走り出しは、「上級で大きなクルマ」という印象だ。実際、旧型の「エクリプス クロス」と比べて、前後のオーバーハング(前後タイヤからボディ末端までの長さ)が、前部35㎜、後部105㎜、全長4545㎜ある。全幅1805mmと全高1685㎜は以前と同じだ。このサイズ感のクロスオーバーSUV(舗装路での性能を重視したSUV)としては走りとして大柄に感じるが、けっして取り回しが悪いという印象ではない。

 御殿場市内の細い道を、EV(電気自動車)モードで走行すると、環境にやさしくおとなしいEVという印象ではなく、特別なクルマに乗っていることでの、セレブ感が優先するような気持ちになる。

 走りの舞台を、箱根方面のワインディング路に移した。ドライブモード(エコ、ノーマル、グラベル、スノー、ターマック)の中から、ラリー競技で「舗装路」を意味する「ターマック」を選択。

 すると、クルマ全体の走りのキャラクターは急変した。まるで、クルマがひと回り小さくなったような印象を持つほど、ステアリング、アクセル、ブレーキ操作に対して、走り全体がギュッと凝縮するイメージだ。いわゆる「攻める走り」というより、クルマをドライバーが自在にコントロールできることで、走行中の安心感が増す。特に、下り坂における急なカーブで実感できる。

 また、走行中に2.4リッターエンジンが作動するポイントがあるが、その際、「エンジンがかなり遠く」に感じるほど、どのような走行条件でも、まるでEVのような雰囲気で走る。

 今回の試乗の1週間前、御殿場近隣の富士スピードウェイで開催されたレクサス「オールラインナップ試乗会」で乗った、年次改良を施したハイブリッド車の「LS500h」や「IS300h」と比較しても、「エクリプス クロスPHEV」のハイブリッド車としての走りは、毛色がまったく異なる。

「これは、『スノーモード』でも相当走りやすいはずだ」と思った。なぜなら、レクサスの試乗会と今回の試乗会の間に、私は大雪に見舞われた東北地方を、ガソリンの前輪駆動車で走行していたのである。

「アウトランダーPHEV」と基本は共通
「ランサーエボリューション」技術も継承

 走行を楽しんだ後、動力性能を担当するエンジニアたちと飛沫防止ボード越しに、また、オンライン会議システムで商品企画担当者を交えて、「エクリプス クロスPHEV」の詳細を聞いた。

 まず、PHEVシステムについては、前後2つのモーター(フロント60kW、リア70kW)インバーター、リチウムイオン二次電池(電池容量13.8kWh)などの電動系ユニット本体は、プラグインハイブリッドSUVのパイオニアである「アウトランダーPHEV」を継承した。

写真:アウトランダーPHEVと並んだ様子アウトランダーPHEVと並んだ様子 Photo by K.M.

 また、四輪制御についても、AYC(アクティブ・ヨー・コントロール)、ASC(アクティブ・コントロール)など、「ランサーエボリューション」を擁した、世界ラリー選手権といった競技で積み上げた技術開発がしっかりと生きている。

 カタログの最初に、「4WDとEV、二つの歴史が交わり、さらなる未来へ」という表記があった。4WDでは「ジープ」「パジェロ」、そして「ランサーエボリューション」への継承。また、EVでは「ミニカ」「リベロ」「FTO」などの試作車から量産モデル「i-MiEV」へとつながる道。これら二つの歴史が、2013年に初代「アウトランダーPHEV」として融合しているのである。

 そして2018年、「アウトランダーPHEV」は大幅に改良された。当時、三菱は財務状況を改善するため、新規開発予算を絞り込み、EVやPHEVの改良が遅れていた。満を持して登場したこの2代目「アウトランダーPHEV」は、満充電での航続距離の延長や、エンジン稼働時の静粛性、さらに四輪制御技術など、あらゆる面で大きく変化した。

 そして、ボディサイズが少し小さく、よりキビキビ走ることができる「エクリプス クロスPHEV」にそのユニットを搭載したのである。

写真:シフトレバーなどPHEV系の車内シフトレバーなどPHEV系の車内デバイスは、「アウトランダーPHEV」と共通性が高い Photo by K.M.
写真:2.4リッターエンジンやモーター2.4リッターエンジンやモーターなどは「アウトランダーPHEV」から移植 Photo by K.M.

 さらにいえば、3代目となる次期「アウトランダーPHEV」は、三菱の中期経営計画で示した新車導入ロードマップにおいて、2022年度に登場することが決定している。業界内では、次期「アウトランダー」は、日産の次期「エクストレイル」とボディなどを共用する可能性がうわさされており、そのため、三菱で培ったPHEV技術を「エクストレイル」に移植する可能性も高いと見る向きも強い。

 つまり、今回の「エクリプス クロスPHEV」用のユニットは、三菱専用としての完成形と呼べるものであり、これをベースとしてさらなる進化がなされることになるだろう。