三菱自動車は2009年に小型のバッテリー式電気自動車(BEV)「アイミーブ」を発売し、一貫生産を前提とする量産BEVの領域で「世界一番乗り」を果たしたメーカーだ。その「アイミーブ」も2020年度内にも生産終了。これからも三菱自は電動車の領域で戦い続け、存在感を発揮できるのだろうか。(ジャーナリスト 井元康一郎)
経営戦略を大転換した
三菱自動車
今年7月には中期経営計画を修正。グローバルでの多極展開をやめて現状、唯一マトモに利益を出せる東南アジア市場の一点突破型へと経営戦略を大転換した三菱自動車。2020年度上半期に営業損失826億円、純損失2099億円という巨額の赤字を計上するなど、三菱重工業から分離独立して以来、最大の危機に直面していること、CO2排出量が大きいSUVを主力商品としていること、などを考えると、利益と環境規制対応の2点でやむにやまれぬ選択ではある。
半面、過度の一極集中は経営にとってリスクが大きい。日本を含む先進国市場においても最低限のビジネスはつないでいかねばならない。新興国中心のクルマづくりで先進国市場をカバーするのは至難のワザ。そこで三菱自動車が武器にしようとしているのが今日、世界の自動車業界において一大トレンドとなっている電動化技術だ。