サステナブル(持続可能な)社会づくりに向け、市民が政府や企業に圧力をかける欧州。市民の9割が環境と社会に責任ある消費行動をしているといいます。こうした中、パッケージフリーな小売形態がフランスを中心に拡大しています。バルクで店に運ばれてきた包装されていないオーガニック食品等を、来店客自ら持参する容器に必要な量だけ入れてもらう「量り売り」をする専門店やスーパー内コーナーです。(Nagata Global Partners代表パートナー、フランス国立東洋言語文化学院非常勤講師 永田公彦)
サステナブル消費にシフトする欧州市民
仏金融グループBNPパリバ系調査会社が2019年10月に欧州15カ国1万4200人を対象に行った消費者意識調査『CONSO 2020(Observatoire Cetelem)』によると、調査対象者の87%が社会と環境に対し何らかの責任ある消費行動をとり、51%がこれを生活上の目的としています。
このように大多数の欧州市民がサステナブルな消費行動にシフトする背景には、市民によるの「5つの脱」への意識と行動の高まりがあります。脱ゴミ(ゴミを減らす)、脱プラ(プラスチック製の商品や包装資材を減らす)、脱ロス(食品等の作りすぎや買いすぎによる無駄な廃棄をなくす)、脱ケミカル(化学肥料・農薬・添加物を使う食品等を避ける)、脱グローバルサプライ(商品のグローバルかつ複雑な輸送・梱包・冷蔵保管等で排出される温室効果ガスやゴミを減らす)です。以下がこれを裏付ける数字です(同調査より抜粋)。
◆87%が、無駄な消費と廃棄物を減らす⇒脱ゴミ、脱ロス
◆85%が、プラスチック製の商品や包装等をなるべく避け、82%が、プラスチック包装された商品を買う際に悪い気分がする(常に16%、頻繁に36%、時々30%)⇒脱ゴミ、脱プラ
◆64%が、非オーガニック商品を買う際に悪い気分がする(常に8%、頻繁に24%、時々32%)⇒脱ケミカル
◆84%が、地元産、季節もの、オーガニック商品を優先購入する⇒脱ケミカル、脱グローバルサプライ
◆63%が、大手食品メーカー製品をボイコットするのは正当行為と考える⇒脱グローバルサプライ
◆59%が、地球環境に配慮された商品サプライチェーンであるか否かを注視し購入する⇒脱グローバルサプライ