また、面接や面談を行っていくうちに「私はこの業種に行きたいと思い込んでいたが、本当に重視したいのは経営者のビジョンではないか」というように、自分の中の優先順位が変わってくることもあります。

 ですから、転職活動においては最初に考えていたことが変化するケースは多々あり、考えが変化してもよいのだということを候補者は理解しておくべきだと思います。そうでなければ自分の考えがふらふらしているように感じたり、混乱してしまったりするからです。

自分が転職で重視する要素とは何か

 転職活動を進めるうちに考えが混乱してきたり、もともとKTKが十分に整理できていなかったりする転職希望者は少なくありません。

 そういう人たちには、ツールを使いながら、自分にとって重要な要素を整理することをお勧めしています。当社では「バリューファインダー」という独自のツールを使ってこの作業を行っています。簡単に説明すると、転職に関して並んでいるキーワード一覧を眺め、ピンときたものに丸を付けていき、その中でも重要なキーワードを順位付けしていくというものです。

 たとえば、コンサルタント会社勤務の候補者が「事業会社で働きたい」と考えて転職活動を始めたが、キーワードを整理してみると、「重要なのは事業会社に行くことではなく、よりお客様にコミットできることである」と気付き、選択肢を事業会社だけでなくコンサルティングファームまで広げたケースがありました。

 また、組織カルチャーにおいて「嘘がない」という項目に丸を付けているが、面談のなかではあまりそういう話は出てこなかった候補者がいました。この点を深掘りしていくと、現在の勤務先にはコンプライアンスリスクが存在し、それを回避したい気持ちが強いことが分かったというケースもあります。

 もともとこのバリューファインダーは「候補者の方が転職の選択軸をどこに置いているのかを共通言語化したい」「共通言語化のアセスメントを通じて選択軸の優先順位を整理したい」とのニーズから開発しました。

 転職について自身の考えを整理してもらおうとすると、転職経験のない若手候補者だけでなく、エグゼクティブの候補者でも「うーん、難しいな…」となる局面があります。そういう時にこうしたツールを基に選択軸を整理していくと「ああそうか、こちらの要素を優先すべきだ」といった気付きが生まれたりします。