「余ったワクチン」を目当てに
「エルサレム・アリーナ」に集まる若者

 その日の夜、筆者はエルサレム・アリーナのワクチン接種所にいた。イスラエル国内はロックダウン中ではあったが、ワクチン接種などの理由があれば外出ができる。接種所の入り口に行ってみると既に人だかりができていた。

アリーナの外で待つ人々アリーナの外で待つ人々 Photo by Y.T.

 そこに立つ誰も優先接種対象者ではなさそうだ。むしろ筆者と同年代、それよりも若そうな人ばかりだった。一番近くで並んでいた人に声をかけてみると、彼は、WhatsApp(海外でよく使われる通話アプリ)のグループで「ワクチンが余っているから希望者はアリーナまで来るように…」という言葉に引き寄せられてやってきたそうだ

 要するに、当日キャンセルが多発していて、そのキャンセル分について接種当日の夕方に接種所から非公式の募集があり、優先接種対象者以外もワクチン接種が可能ということなのだ。

 他に並んでいた数人もFacebookなどのSNSを見てやってきたという。

 実際に、私も列に並んでみた。

実際にSNS上で流通している告知文。「ワクチンセンターでワクチン300人分が余っており、18歳以上の特定の保険適用者ならワクチンを受けることができる」という実際にSNS上で流通している告知文。「ワクチンセンターでワクチン300人分が余っており、18歳以上の特定の保険適用者ならワクチンを受けることができる」という Photo by Y.T.

 しかし、ここで意外な事実がわかった。隣に並んでいた若者に「あなたはどこの保険会社なの?」と聞かれたのだ。

 そうなのだ。冒頭記載の通り、保険会社を通じて申し込みをする以上、当たり前だが、その該当する保険会社に入っていないと接種できない。私が入っていたのは大学の強制加入の保険会社だったが、残念ながらアリーナでは接種を受け付けていないことがわかった。

 試しに、係員に聞いてみたが、やはり、該当する保険に入ってなければ接種は無理とのことだった。

「残念だけど、該当する保険に入っていないと受けられないし、何より、私も受けたいのに受けられていないのよ」

 その女性は私と同じくらいの年だったが、冬の寒空の下、大勢の来場者対応に必死だった。