新型コロナウイルスがもたらした危機は、経済システムを修正せよという要求を加速させ、苦境にあえぐ人々が望めば、政府は自由に財政出動できることを示した。これによって資本主義は変化するのか。その問いに答えるには、10年前に起きた世界金融危機の余波を振り返る必要がある。当時は「ウォール街を占拠せよ」を合言葉とした抗議運動が起き、政府は金融システム救済のため数兆ドルの資金を投じた。しかし銀行改革を除けば、資本主義はほとんど傷付くことなく生き残った(世界貿易は損なわれたが)。今回は状況が違うかもしれない。過去10年間に、政府の介入主義的傾向が強まる方向にシフトする環境が整えられてきたからだ。同時期に見られた驚くほどの株主利益の行方は、どちらに転ぶか分からない危うい状況にある。