俳優・市毛良枝さん 撮影/フカヤマノリユキ スタイリング/金野春奈(foo) ヘア&メイク/長縄希穂(マービィ)
たくさんのテレビドラマや映画に出演している、俳優・市毛良枝さん。市毛さんの母は2004年に脳梗塞を発症後、要介護状態になり、2016年に100歳で亡くなった。市毛さんは忙しい俳優の仕事をこなしながら、母と娘の2人暮らしの中で10年以上介護を続けてきたことになる。施設への入居、在宅介護、90代の車椅子の母を連れての海外旅行など、「仕事と介護」をアクティブに両立させてきた日々について聞いていく。(構成/前川亜紀)
母の大病や骨折…50代半ばから介護に翻弄される生活が始まった
年末年始、実家に帰ったときなどに親の老いと向き合う人は多い。「そろそろ介護か」という不安と「もっと親孝行しておけばよかった」という後悔が同時に立ち上がる。そうした気持ちを救うヒントが詰まっているのが、俳優・市毛良枝さんの新刊『百歳の景色見たいと母は言い』(小学館)だ。市毛さんはこの本の中で、俳優の仕事を続けつつ、母を13年間介護し、100歳で見送った日々を詳しく綴っている。「介護は気づけば始まっていた」という市毛さんに、親の老いに伴走するヒントを伺った。
――市毛さんの介護が始まったのは、50代半ば。お母様が88歳の時に骨折し、医師に「もう歩けないかもしれない」と言われて以降、介護に翻弄されるようになりました。
二世帯住宅で同居していた父が永眠してから約10年間、母は習い事や外出を楽しんでいました。序章のように始まった介護のきっかけは、母が86歳のときに受けたがんの手術です。順調に回復しましたが、2年後に脳梗塞、そして脳出血を起こし、入院中にベッドから転落し、大腿骨頸部を骨折したのです。







