上海中国の都市部住民世帯の住宅保有率は96%にも上っており、2つ目、3つ目の不動産を購入したがる人が多い Photo:PIXTA

新型コロナウイルスの影響で、日本同様、中国でも不動産市場が注目されている。コロナ禍を逆に「チャンス」と捉えた人が購入に前向きなのだ。しかし、2020年5月に中国人民銀行が発表した都市部住民世帯を対象とした調査によると、都市部住民世帯の住宅保有率は96%にも上っている。なぜ、彼らは持ち家があっても、さらに不動産を欲しがるのだろうか?(ジャーナリスト 中島 恵)

自分の持ち家があっても
不動産を欲しがる

 2020年夏、北京に住む女性に電話をかけたところ、開口一番、不動産の話になった。ちょうど自宅近くの住宅地に新築マンションの展示場ができ、見学に行ってきたばかりだという。

「今なら絶対お買い得だから!以前から狙っていた人が飛びついているんですよ。私もできたらもう1軒くらい買っておきたいなと思って」

 確かに、2020年5月、中国全体の不動産販売額は前年同期比16%増と、新型コロナ前よりもアップしていた。中国の不動産市場は夏から秋にかけて急速に回復し、販売や投資が大きく伸びた。当局が規制措置を講じた結果、昨年末以降は需要が鈍化しているが、基本的に中国人の不動産熱は冷めてはいない。彼らは、いつでも、どんなときも常に不動産市場に注目し、いい物件を手にしたいともくろんでいる。

 しかし、(都市部では)持ち家があるのに、なぜ、彼らはそれほど不動産を欲しがるのだろうか?