ハッタリでも余裕を見せると相手は不安に

 目的は相手を不安にさせることですから、「何も言い返せないから黙ってるんだ」と思われては意味がありません。

 かといって黙って相手を見つめていると、睨みつけているような印象になり、反感を抱かれる恐れがあります。

 まず、沈黙といっても、完全に黙りこくるわけではありません。

 焦った様子は見せず、ハッタリでも「余裕」を見せること。それには、「うーん、そうですかあ……」「それはどうなのかなあ……」などとつぶやきながら、相手から目をそらし、資料をパラパラめくったりするといいでしょう。

 すると相手は、何かまだ明かされていない手の内があるのかと不安になります。

 心理的優位に立つことで、主導権を取り戻すことができるのです。この効果を高めるために、わざわざ分厚いファイルを持参するというのもおすすめです。

 本当はノートPCだけで事足りるのに、相手の目前で、おもむろにドン、ドンと資料を積み上げる(でも中身のほとんどは、その案件とは関係ない紙の束)……というのは、私もよく用いるテクニックです。

 その様を見ただけで、相手は「なんだかわからないけど、ものすごく準備してきたようだ」と、いきなり不安に陥ります。

 それでも気を取り直した相手からロジック攻めを受けているところで、こちらが「そうですかあ……」などと言いながらファイルをパラパラめくる。ますます相手の不安が大きくなるのは明白でしょう。そこから形勢逆転するのは、じつは、それほど難しくはありません。心理的優位に立つことの効果は、やはり絶大なのです。

 また、「相手の言うことをできるだけたくさんメモに取る」というのも、「黙る戦略」の一つとして効果的です。言葉をまくし立てる人は、勢いに任せて話しているので、メモを取られて「記録が残る」ことに無意識的な恐怖感を持っています。その恐怖感で相手にプレッシャーをかけるのです。

 さらに、メモを取ることで、前後の矛盾や同じことの繰り返しなど相手の話の弱点にも気づくことができます。

 簡単なテクニックですが、これだけで相手の勢いに目に見えてブレーキがかかります。ぜひ試してみてください。