『鬼滅の刃』が社会現象となったが、2000年代のアニメに影響を与えた作品といえば『涼宮ハルヒの憂鬱』。昨年11月にはハルヒシリーズ待望の新刊『涼宮ハルヒの直観』(角川スニーカー文庫)が発売された。売れ行きも好調で、依然として人気は健在だという。同作はストーリーだけではなくキャラを圧倒的に際立たせ「メディアミックス戦略の革命」ともいわれているが、その功績をアニメ業界に詳しいジャーナリストの河嶌太郎氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)
シリーズ累計2000万部
深夜枠でもアニメはヒット
2020年11月25日に9年半ぶりに発売された『涼宮ハルヒの直観』(角川スニーカー文庫)。2003年に第1作『涼宮ハルヒの憂鬱』が刊行され、2006年には京都アニメーションによってテレビアニメ化された涼宮ハルヒシリーズの新刊である。
高校入学時の自己紹介で「この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」と言い放った涼宮ハルヒ。そんな彼女が立ち上げた新クラブ「SOS団(世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団)」に加入させられた普通の男子高校生キョンの視点で物語は進行する。高校生活の日常と超常現象などのSFが組み合わされたストーリーになっている。
第1作であるライトノベル『涼宮ハルヒの憂鬱』は、第8回スニーカー大賞で大賞を受賞。また『このライトノベルがすごい!』2005年版で作品部門1位を獲得するなど、ハルヒシリーズはライトノベルで最も成功した作品のひとつと言われ、全世界でシリーズ累計2000万部を突破している。