『鬼滅の刃』歴史的ヒットはなぜ?
専門家が語らない最大の要因とは

『鬼滅の刃』の聖地として参拝客が増えているという、福岡県の竈門神社。この作品は、なぜこれほどまでに人々の心を揺さぶるのか Photo:PIXTA

 映画『鬼滅の刃』が歴代最速で興行収入100億円を突破した、と大きな話題となっている。

 かく言う筆者も、先週末に映画館に足を運んでみたのだが、そこで驚いたのは予想していた以上に幅広い年齢層の人たちが観に来ているということだった。

 小中学生やファミリーはもちろん、若いカップルから40〜50代の中年層、そしてかなり年配のシニア層までいらっしゃった。もはやアニメは子どもだけの娯楽ではないというのは常識なれど、ここまで幅広い層に受けるというケースはなかなか聞かない。

 では、なぜこの作品はここまで多くの人たちを惹きつけているのだろうか。

 専門家が分析するところによれば、「鬼退治」というシンプルなストーリーの中に、家族愛や兄妹愛などが押し込まれ、主人公たちだけではなく敵役のキャラクターたちの心理描写が丁寧になされているところが、今の社会ムードにピタリとハマッたからということだ。それに加えて、テレビアニメ版がアマゾンプライムなど多様な動画配信サービスで楽しめるようになっている中、コロナ危機が起きて「おうち時間」が増えたことで、アニメを入口にファンになった人が多いこともあるという。

 これらは論理的にスジの通った説明で、納得感しかないのだが、個人的には1つ大きな要素を忘れているのではないかと考えている。それは、「人食い鬼」だ。

 ご存じない方のために簡単に説明すると、『鬼滅の刃』の舞台は大正時代。世の中的にはまったく公になっていないが、人間を食べることによって超人的な力を得る鬼が暗躍しており、闇夜に紛れて人を襲っていた。