ユニクロとしまむらの戦略から
ワークマンの今後を占う

内田:しまむらとユニクロの比較してみましょう。坪数はだいたい300坪ぐらいで、ユニクロもしまむらも同じですが、1店舗あたり売上高がしまむら約3.6億円、ユニクロ約12億円で全然違うわけです。

土屋:しまむらとユニクロの違いは何でしょう。

内田:ユニクロは徹底的に繁華街に出店しています。東京都の地図では、山手線の新宿、池袋、渋谷、大手町、有楽町、日本橋のあたりに出しています。東京都には23区内だけで約100店舗あります。

それに対し、しまむらは都内23区内に以前は20店舗ほど、現在でも30店舗ほどです。しかも新宿・渋谷などの繁華街はゼロです。山手線の内側は高田馬場と大塚くらいで、あとは郊外です。店舗数は全国でしまむらのほうが約2倍ですから、しまむらは徹底的に地方に出店しています。新潟県を見ると、ユニクロが主要都市にしか出ていないのに対して、しまむらは徹底的に地方都市まで出しているのです。

土屋:なるほど。

内田:彼らの店舗戦略は徹底していて、ユニクロは新潟県では人口9万人、世帯数3万以上の市にしか出店していません。

それに対してしまむらは人口3万人、世帯数で1万のところにまで出店しています。

どうしてこうなっているかというと、基本的にはユニクロはデザインがベーシックなので、一人にたくさんのアイテムを買ってもらえません。すべてのアイテムをユニクロで揃えるわけにはいかないので、他の店でも買います。

それに対してしまむらは「ファッショナブル」を売りにし、全アイテムをしまむらで揃えられるというのが彼らの売り方です。

そうすると、小さい町でも財布の中のシェアを高めれば、しまむらの場合は成り立ちます。だけどユニクロの場合は、小さい町へ行ってしまうと、みんなユニクロの服ばかり着て、しかも品揃えが少ないので全部同じ服になってしまうので、ユニクロは小さな町には出られないのです。これがしまむらのこれまでの強みだった。それを整理すると下図になります。

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土屋:わかりやすいですね。

内田:ユニクロが扱っているのは、ベーシックで流行性が低い。アイテム数は350~400。ターゲットは全セグメント。商圏広い。立地も都心・駅前・繁華街で便利なところ。在庫売れ残りは定番であるがゆえに少ない。だからアイテムも少ないし、売れ残りが少ないから、事実上の自社生産ができる。業態はSPA(製造小売)です。

一方、しまむらは、どちらかというと流行ファッションを追うので、売れ残りリスクが高い。そうなるとアイテム数が4万~5万。狭い商圏でも成り立つのは、先ほどの理由です。これだけのアイテム数だと自社生産したら、とんでもない。すぐに在庫の山になってしまうので、オール仕入れでやっている。これはどっちがいいとか悪いではなく、私から見ると、両社は違う生き物なのです。しまむらが急にベーシックをやり出すとおかしなことになるし、ユニクロがファッション性を追求し始めると、おかしなことになるでしょう。

土屋:勉強になります。

内田:ここから学ぶに、ワークマンは持っている強みをきちんと整理し、あまり余計なことをやらないことです。一時的な売上は上がっても、かえって会社の方向性がわからなくなり、社員が迷ってしまうことになるというのが私の答えです。

土屋:「しない経営」を徹底させるということですね。我々はユニクロとしまむらの中間ぐらいで人口6万人程度の場所に出店しています。ユニクロほどベーシックではないのですが。

内田:私から見るとユニクロのビジネスモデルに近いという気がします。

土屋:しまむらになったら経営がピンチになりそうですね。

内田:はい。でもユニクロもこういうことがわかっているから、GUという別ブランドでトレンドを追いかけに行っているのです。

土屋:よくわかりました。ワークマンの敵はワークマンで、変なことをやって自滅しないようにしないといけません。

内田:そういう意味でWORKMAN Plusも#ワークマン女子も、ワークマンのドメインの範疇で勝負されているのがいいと思います。ドメインから外れるといろいろな問題が生じるでしょう。ドメインからはずれる新業態を行うのであれば、組織を分けるほうがよいと思います。