生活保護が必要なのに
申請できない人々の実態
コロナ禍の中で過ぎた年末年始、そして年が明けてすぐ発令された2回目の緊急事態宣言は、生活に困窮する人々を確実に増加させている。しかし支援団体の多くは、生活保護への抵抗感に困惑している。
生活保護の利用を困難にする国籍や在留資格などの問題がなく、誰がどう見ても生活困窮状態にあり、生活保護の利用資格があり、生活保護以外の手段が残されていないにもかかわらず、生活保護を申請することには積極的になれない人々が多いのだ。何が生活保護の利用をそれほど困難にしているのだろうか。
年末年始、一般社団法人つくろい東京ファンドは、相談会を訪れた人々165名に対して対面式インタビュー調査を行った。生活保護に関しては、22.4%が現在利用中、13.3%が過去に利用、64.2%が利用歴なしだった。住居や食糧や医療について差し迫った支援を必要としている人々のうち約80%は、生活保護を利用できそうであるにもかかわらず利用していないことになる。
来訪者の90%は男性、平均年齢は56歳だった。現在、生活保護を利用している人々の平均年齢は61歳、現在は利用していない人々の平均年齢は54歳。生活保護を利用していない人々は約6歳若いのだが、「大差ない」ともいえるだろう。いずれにしても、生活保護を現在利用していない人々は、本人が「働けば何とかなるだろう」と思っている場合もあれば、働けば何とかなってきたはずなのにコロナ禍でままならなくなった場合もあるようだ。
生活保護を現在利用していない人々のうち、賃貸アパートや持ち家など安定した居住を確保している人々は35%に過ぎなかった。65%は、路上生活・ネットカフェ・簡易旅館・知人宅など、不安定な居住を強いられていた。居住だけでも、生活保護の必要性は切実なはずである。
それでも生活保護の申請に踏み切れない背景は、どこにあるのだろうか。