本書の要点

(1)コミュニケーションは練習が必要なものであり、「誰でもできて当たり前」ではない。コミュニケーションが苦手な自分を責める必要はないし、苦手なら練習してうまくなればいい。
(2)会話は自己表現の場ではないので、オチはいらない。オチを用意しているのは、相手の自由な反応を認めていないようなものだ。
(3)相手がしゃべりにくそうなときや、会話の糸口が見つけられないときは、こちらの勝手な先入観や決めつけをぶつけてみよう。すると、相手はそれを否定するために、たくさん話してくれる。

要約本文

◆「会話がしんどい」から卒業するために
◇コミュニケーションには「武器」が必要だ

「コミュ障」という言葉がある。これは「コミュニケーション障害」の略称であり、今は一般的に「他人とコミュニケーションをとることが苦手であることを表す俗称」として使われている。

「コミュ障」という言葉が広く使われるようになったのは、「コミュニケーションは、本来できて当たり前のものだ」という考え方があるからだろう。だが実際には、コミュニケーションは練習が必要なものであり、「誰でもできて当たり前」ではない。だから、コミュニケーションが苦手な自分を責める必要はないし、苦手なら練習してうまくなればいい。

 そこで必要なのが「武器」だ。コミュニケーションをとれる人たちは、経験を積み重ね、「武器」を獲得している。本書の目的は、コミュニケーションに使える「武器」を読者に渡すことだ。

◇初対面ではどうでもいい話をしよう

 仕事の会話はできても「どうでもいい話」や「ムダな雑談」が苦手だという悩みは多い。どうでもいい話をするときは、利害関係のない話題を選んでみよう。一番代表的なものが「天気の話」である。

 ただし、「今日はいい天気ですね」というと「そうですね」で会話がストップしてしまうので、「今日、家を出るとき、晴れてました?」と質問形にするテクニックを使うといい。そうすれば、相手が自分のことを話してくれて、その人の住んでいる場所や家の様子などがわかり、そこから「どうでもいい雑談」が広がっていく。