コンサル大解剖Photo:PIXTA

コンサルティングファームから別のコンサルファームへ――。外から見れば「同じ業界内での横移動」に思えるかもしれない。しかし、当社の転職支援データの2年分を分析すると、そこには明確な理由と傾向が見えてくる。長期連載『コンサル大解剖』内の連載「コンサルキャリアの新潮流」の#2では、「成長機会・市場価値」「評価・昇進」「給料」「働き方」という四つの転職理由を切り口に、「コンサル→コンサル」転職の実態を読み解いていく。(Wayout Strategic Partners副社長 新美智子)

コンサル人気の背景に裾野の拡大
元コンサルのエージェントも増加

 近年、就職市場においてコンサルティングファームの人気は高まり続けています。新卒向けのキャリアプラットフォーム「外資就活ドットコム」における上位層の学生を対象とした人気企業ランキングでは、上位10社のうち複数を外資系や総合系のコンサルが占める状況が定着しており、中途採用市場においてもその傾向は年々強まっています。

 人気が続く背景にはいくつかの要因があります。第一に、コンサル企業側の採用拡大によってコンサルが身近な職業になったことです。かつては一部の超エリート層のみが挑戦できるキャリアでしたが、現在ではIT・デジタルや企画経験などを積めば中途からのキャリアチェンジも現実的な選択肢となっていて、その裾野が広がっています。

 もう一つの要因として、コンサル出身エージェントが増加していることが挙げられます。ケース面接など特殊な選考に精通したエージェントが増えたことで、候補者が応募前に実践的な準備を行えるようになりました。さらに、コンサル実務経験を持つエージェントが企業ごとの特徴や業務実態を伝えることで、面接の場でもスムーズに議論ができるようになっています。こうした支援環境の進化も、コンサル人気を下支えしていると考えられます。

 筆者自身も複数のコンサルティングファームを経て、現在はコンサル転職支援に携わっている立場から、解像度の高いエージェントを活用することは転職成功率を高める上で不可欠だと実感しています。業界の動きは速く、各社の領域も細分化が進む中で、正しい一次情報に触れられるかどうかが転職の成否を大きく左右します。これまで6年、コンサル転職支援に関わってきた実績をもとに、近年の傾向をご紹介します。

 コンサルからコンサルへの転職理由は、大きく四つに整理できます。

次ページでは、「成長機会・市場価値」「評価・昇進」「給料」「働き方」という四つの転職理由を切り口に、転職者の特徴を整理するほか、給料を理由に転職した人の平均的な給与の上昇幅なども紹介する。「コンサル→コンサル」の転職は一見、横移動には見えるが、データを基に見ると、転職者の戦略的な判断も明らかになってくる。コンサル転職者が念頭に置くべき、転職にあたっての戦略とは。