厚生労働省では、毎月、人口動態を調査し、約2カ月後に統計を公表している。『人口動態統計速報(令和2年9月分)』によると、1月~9月の全国の離婚件数は14万7212件。一方で、再婚率も増えているという。離婚・再婚は「相続」にどう影響するのか。事例も含めて解説してみたいと思う。(税理士 岡野雄志税理士事務所所長 岡野雄志)
新型コロナウイルス感染症の影響で
今後、離婚・再婚は増えるのか
東日本大震災後、「震災婚」なる言葉も生まれ、結婚する人が増えると言われた。しかし、蓋を開けてみれば、実際には平成23(2011)年の婚姻件数は66万1899組で、前年の70万0214組より3万8315組減少していた〔参考:厚生労働省 平成23年人口動態統計月報年計(概数)の概況:結果の概要〕。
では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響はどうであろうか。コロナ禍にあって自宅で孤独に過ごす時間が増え、経済や家計も逼迫(ひっぱく)する中、パートナーを求める人が増えているのではないかというのが大方の予想だった。
しかし、厚生労働省『人口動態統計速報(令和2年9月分)』を見る限りでは、婚姻率は対前年比30.2%減である。むしろ、三密を避けるため、結婚式や披露宴を延期したカップルが多かったのかもしれない。前年は令和婚ブームで7年ぶりに婚姻率が増加したというのもあるだろう。