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テレワークで余裕ができたAは、3年前まで働いていた会社の仕事を副業として手伝うことになった。会社に無断で副業をしていたことに気づいた上司は激怒するが……。(社会保険労務士  木村政美)

<甲社概要>
 従業員数200名の物販会社。
<登場人物>
 A:30歳。大学卒業後、乙社でテクニカルライターをしていたが、違う仕事がしたくなり3年前甲社に転職。現在は営業課所属。
 B:45歳。乙社の社長。ライティングの専門会社を経営している。
 C:30歳。Aの元同僚。1年前甲社を退職したが、Aとの友人関係は続いている。
 D:40歳。営業課長でAの上司。
 E:30歳。Aの同僚。Cとは仲が良く連絡を取り合っている。
 F:甲社の顧問社労士。

テレワークで効率化、ヒマを持て余していたところに電話が…

 甲社の営業課は、コロナ感染拡大防止のため、2020年5月から出社は原則週1回で、あとの4日は自宅でのテレワーク勤務となった。Aは会社からノートPCとスマホを貸与され、顧客からの商品注文の受け付けや発注手続き、新製品の紹介と販促を行っていた。

 顧客は長年取引のある企業ばかりのため、業務は電話、メール、オンライン会議等で済み、テレワークでもほとんど支障はなかった。その上、先方へ出向くための移動時間がなくなり、業務時間が大幅に短縮されたので、テレワークの日は午前中で仕事が終わるようになった。Aは昼過ぎからヒマになったが、勤務時間中は原則外出禁止なので、退勤時間になるまでゴロゴロして過ごしていた。

 11月上旬のことだった。Aはこの日も相変わらず午前中で1日の仕事を終え、うたた寝モードに入ったとき、自分のスマホの着信音が鳴った。あわてて電話を取ると、

「A君久しぶりーっ。元気してた?」

 声の主は前職の社長であるBだった。Aは驚いた。

「B社長、突然どうしたんですか?」
「A君、今仕事忙しい?」
「コロナの影響で今は週4日テレワークなんですが、仕事が半日で終わっちゃうんでヒマしてます」

 するとB社長は、

「おおっ、ラッキー!」

 と喜びをあらわにした。そして、

「こっちは社員が急に辞めた上に、最近大口の仕事が入ってね、今猫の手も借りたい状態なんだよ。だから頼む、ちょっと仕事手伝ってくれないか?」

 と懇願した。

「えっ、ホントですか?いいですよ」

 と、Aは即座に了承した。

「サンキュー!助かるよ。じゃあ明日詳しい仕様書送るからよろしくな!」

 電話を切ったAは心の中でニンマリしていた。

「やった!テレワークになってから残業代がなくなってビンボーだったけどこれで解消だ!」