D課長はF社労士の説明に納得した。そして勤務時間内副業防止のため、会社が行う対策方法について尋ねた。

「今後は勤務時間中に副業をされないように、テレワーク中の労働時間管理の方法を改善していくことが必要ですね」
「そうですか。これまで職場で行っていた出退勤時の確認と出社時の個別面談だけでは無理ですね。これから検討します」
「あと、会社で貸与したスマホやPC等の機器類は、個人目的の使用禁止をあらかじめ決めておくことです。テレワーク規定等を作成し記載するといいですよ」
「そこまで気が回りませんでした。テレワーク規定作成の件を含めて社長に話します」

Aの処遇は?

 そして翌日、甲社ではAの処遇に関する懲罰委員会が開かれた。そしてF社労士のアドバイスとAの弁明内容を含めて協議した結果、就業規則により3月支給分の給料の一部を減給する処分とし、また副業は当面の間禁止とした。

 Aはクビにはならなかったものの、副業がバレてから、D課長や課員たちから冷たい視線を浴びたり冷ややかな態度を取られるようになり、すっかり気分が落ち込んだ。

「もう会社には居づらい。それに考えればもともと給料は安いし、当分はテレワークで残業代もない上に副業も無理。それなら乙社に戻った方がいいかな。B社長に連絡して復職させてもらおう」

そしてB社長に社員として再び働きたいことを告げたのだが、

「A君、その件は済まないが昨日新しい子を入れたんだ。それに彼、経験者でかなりデキるんで、今まで君に頼んでいた仕事は終わりにさせてもらうよ」

「えーっ、そんな…」

 転職のアテがはずれたAは、ガックリと肩を落とした。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため個人名は全て仮名とし、一部を脚色しています。ご了承ください。