仲間を助けたいけれど、自分が損するのは嫌
かつて、当社の現執行役員から、こんな相談を受けたことがありました。
「Yさんが消費者金融からお金を借りているようです。
返済が滞り、借金も膨らみ、困っています。
私が武蔵野の社員になれたのは、Yさんのおかげです。
Yさんを助けることはできないでしょうか」
私は、幹部を全員集め、
「Yがこういう状況に陥っているが、助けたいと思うか?」
と聞いた。
すると、全員「助けたい」という。
そこで私は、幹部にこう指示を出しました。
「では、俺が銀行に頼んでお金を借りてあげる。
ただし、借用書の保証人欄に、ここにいる全員の名前を書いて、ハンコを押すこと」
それ以降、誰も「助けてあげてください」といわなくなりました。
要するに社員の多くは、「困っている人を助けたいけれど、自分に火の粉が降りかかるのは嫌」なのです。
ただ、このときばかりはみんな嫌々ながら保証人になりました。
銀行の支店長は困りながら、
「小山社長、こんなにたくさん保証人はいりませんよ」
といいましたが、
「いいじゃないですか。そうしていただけないのなら、他行に乗り換えますよ」
と脅かして......ではなく相談して(笑)、借用書をつくっていただきました。