投資家にウケのよい
売れる商品をつくる?

そもそも投資信託という金融商品は、投資家を儲けさせるためにつくられたものではなく、あくまで販売する側の金融機関が儲けるためにつくられたものです。

手数料収入のビジネスモデルは、投資信託をする投資家が増えれば、株価が上がろうが下がろうが儲かります。

経済合理性を考えると「投資家を儲けさせる商品」ではなく、「投資家にウケのよい売れる商品」をつくるほうが、金融機関にとって正しいビジネス戦略となります。

そう考えると、投資信託は「いかに多くの投資家の興味を引きつけ買ってもらえるか」を元に設計されているともいえるでしょう。

IT業界が盛り上がっているときはIT関連の銘柄を集めた投資信託をつくり、以前、東京オリンピックが決まったときには、不動産投資が流れ込むことを見越して新たな不動産投資信託(REIT)をつくるといった具合に、時代の変化に応じてさまざまなタイプの投資信託が開発されています。

そういった投資信託が値上がりするかどうかは正直、金融機関もわかっていません。

もし、値上がりするとわかっているのであれば、投資家に売らずに自分たちで買い占めるはずです。

値上がりするかどうかわからないからこそ、自分たちで買い占めるというリスクは負わず、一般に広く販売することで手数料を得るという「手堅いビジネス」を選択しているわけです。

とくに営業担当者が強くすすめてくる金融商品に儲かるものはないと思ったほうが無難です。

お客さんが入らない飲食店が集客のため、路上でキャッチをするのと同様に、売れない金融商品に集客するために営業担当者が活躍ことも考えられます。

私の経験からすると、本当にリターンの期待できる金融商品は、相手から営業されることはまずありません。

なぜなら営業しなくても投資家に買われますし、販売している側も自分たちで購入するからです。

「資産運用のプロにお金を預ければ安心」と思考停止するのではなく、こうした事実を知っておくことも大切です。