李洛淵(イ・ナギョン)民主党代表は「野党第1党の指導者が越えてはならない線を越えた」と述べた。

 これに対し、野党第1党・国民の力の朱豪英(チュ・ホヨン)院内代表は、李代表の発言に対し「青瓦台と与党が疑惑を解消する義務があるにもかかわらず、刑事責任を問うといって過剰反応したのがむしろおかしい」と反論した。

 検察の捜査の過程で出てきた北朝鮮での原発建設疑惑に国民が疑問を抱くのは当然だ。「脱原発」を政治哲学とする現政権で公務員が原発建設を単にアイデアとして出したという説明は納得できない。それなれば、なぜ関連文書を廃棄したのか。

 北朝鮮への原発供与の問題は、韓国の安全保障にかかわる重大な事項である。それにもかかわらず、文在寅政権は資料を公開して疑惑を晴らすのではなく、隠蔽と反対派攻撃で乗り切ろうとしていることは、決して許されることではない。

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 韓国政府高官らの不正を捜査する高位公職者犯罪捜査処を新たに設置したのは、こうした時に検察が捜査することを妨害するためである。こうした文在寅政権の独裁政治には政界、言論、国民が一体となって立ち向かっていかなければ、それを正すことはできない。

 こうした疑惑に対し、バイデン大統領の対北朝鮮チームはどう反応するであろうか。黙って見過ごすはずはない。ブリンケン国務長官は北朝鮮核問題への対応を全面的に見直すと言っているが、韓国政府がこの疑惑を積極的に晴らす努力をしなければ、対韓関係の全面的な見直しにも発展しかねない。

 この問題は、ことの重大性からして、もみ消して済む性格のものではない。仮に文在寅政権がもみ消しに成功すれば、韓国の政治に「明日はない」ということを実証することになるだろう。

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)