「毒殺したければ、毒殺した」という
ロジックが通用したロシア

 これに対し、プーチンは12月17日の記者会見で、「毒殺したければ、毒殺しただろう」と語り、容疑を否認した。つまり、「ナワリヌイが生きていることが、私(プーチン)が無関係な証拠だ」と……。

 ずいぶん乱暴な理屈のように聞こえるが、ロシアでは、このロジックが通用する。

 ロシア人の多くは、プーチンのこの言葉を聞いて、「確かにその通りだ」と思ってしまうのだ。

 12月21日、ナワリヌイは、新たに「Я позвонил своему убийце. Он признался」(私は、殺し屋に電話した、彼は〈犯行を〉認めた)という動画を公開した。

 ナワリヌイは、パトルシェフ元FSB長官、現安全保障会議書記の補佐官マクシム・ウスティーノフと名乗り、実行犯の「容疑者」に電話した。

「容疑者」クドゥリャフツェフは、飛行機が緊急着陸したオムスクで、ナワリヌイの服を回収し、毒が発見されないように洗ったことを認めた。

 また、ナワリヌイのパンツに毒が塗られたことを認めた(彼自身が毒を塗ったわけではないが、計画を知っていた。)

 さらに、クドゥリャフツェフは電話で、「なぜナワリヌイはまだ生きているのか?」という質問に回答している。

 彼は、飛行機が緊急着陸せず、「もう少し長く飛んでいれば」ナワリヌイは死んだだろうと語った。ナワリヌイが生き延びたもう一つの理由は、緊急着陸した後すぐ救急車がかけつけ、適切な措置をしてしまったからだと……。

 この電話で、プーチンの「毒殺したければ、毒殺しただろう」というロジックが成立しないことになった。つまり、FSBは毒殺を試みて、「失敗した」ということだ。