今年も残すところあとわずかだ。多くの人が仕事や家事の片付けに追われているのではないだろうか。では、頭のいい人はそんな年の瀬にいったい何をするのだろう。18言語で話題の世界的ベストセラー『一点集中術━━限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』から、訳者の栗木さつき氏に話をうかがった。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

頭のいい人が、1年の最後に必ずする「1つのこと」とは?Photo: Adobe Stock

「内省」の時間を持つ

――もう今年も終わりですね。本書の知見を借りるなら、頭のいい人が1年の最後にやることの第1位は何でしょうか。

栗木さつき氏(以下、栗木):それは、あえて立ち止まり、「内省」の時間を持つことです。自分にとって本当に大切なことって何なのかということを改めて考えてみるんです。

 本書から、核心を突く言葉を引用させてください。

 あなたは現実の人生の難題に、真正面から取り組んでいるだろうか? それとも、そうした難題を見て見ぬふりをして生きているだろうか?
 あなたは人間として成長するための時間を、週に何時間、設けているだろう? その反対に、オンラインで漫然とすごしているのは週に何時間だろう? ――『一点集中術』

 私たちは、ふだんは退屈でつらい「内省」の作業を避けようとして、ありとあらゆるどうでもいいことに手を出してしまうと著者は言います。

 また、「忙しさ」を一種のステータスのように感じてしまっているところもあります。忙しく立ち働くことで、「自分は重要な人間だ」と思おうとしているんです。

 本書には次のような一節もあります。

 作家のローラ・バンダーカムが指摘しているように、「多忙」であることと「自分は重要な人間である」という認識には、強い相関関係がある。「過労と睡眠不足を嘆いてみせることで、自分が必死にやっていることを証明したいのだ」――同書より

「大事なこと」に取り組めたか?

――具体的に、どんな「内省」をすればよいのでしょうか。

栗木:ふだんは忙しさにかまけて、毎日を振り返る時間がなかなか持てないものです。ですから、「1年の終わり」という特別な区切りを使って、この1年にできたことやできなかったこと、楽しかったことや大変だったことなどをじっくりと振り返るんです。

 さらにそこから、「自分にとって本当に大事なことは何か」と改めて考え直します。

『一点集中術』では、人生には「数少ないとても大事なこと」と「数多くの些末なこと」があると説かれています。

 この1年、自分は自分にとって「本当に大事なこと」にどれくらい時間をかけられただろうか、目の前の火の粉を払うだけのことに時間を費やしてはいなかっただろうか、もし大事なことができなかったなら、来年はどうすればいいだろう……そんなことに思いを馳せるんです。

 そうして1年をしっかりと総括してから、新しい1年に臨む。それが、本当に頭のいい人が年の終わりにすることです。

(本記事は、デボラ・ザック著『一点集中術━━限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』の翻訳者インタビューです)