「こんまり」こと近藤麻理恵は、「片づけ」プロフェッショナルとして世界で最も知られる日本人の一人。麻理恵さんの世界進出の戦略を手掛けてきたのがプロデューサーであり夫でもある私の初の書籍『Be Yourself』が発売されました。
本書で伝えたかったのは自分らしく輝くことの大切さ。今回はまさにそれを体現している作家の岸田奈美さんをお招きして、「自分らしく輝くために必要なこと」について話を聞きました。『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』もベストセラーとなった岸田さん。前編(「作家・岸田奈美が自分らしく輝く転機で現れる「妖精おじさん」とは?」に続き、中編では承認のシャワーを浴びせてくれる人の大切さについて語り合います(構成:宮本恵理子)。

「承認のシャワー」を浴びせたある編集者が岸田奈美を輝かせた撮影:竹井俊晴

岸田奈美さん(以下、岸田):川原さんが『Be Yourself』で書いている「自分自身になろう」というメッセージは、すごく世の中で必要とされているように感じました。「良かれと思って」とアドバイスをしてくれる人の言葉に傷ついている人も多い気がするので。「君のためを思って」と言いながら矯正してくる感じ、私もめっちゃありました。「このままじゃダメですか?」とモヤモヤしてました。

川原卓巳さん(以下、川原):あるある。

岸田:私が「この人の言うことは信じられるから、立ち位置を変えてみよう」と素直に話を聞けたのは、ありのままの私を受け入れてくれた人たちでした。「そのままでいい」と言ってくれて、「そのまま」をおもしろがれる才能を持っている人たち。据え置き型才能というか。

川原:据え置き型才能!たしかに、「ありのままをおもしろがる」を得意にしている人たちは、日本では少ないかもしれませんね。肩書きや分かりやすい評価がなければ、ほめることができない。

 僕が世界に出て気づいたのは、グローバルな舞台で活躍している人たちはみんな、「ありのままをおもしろがる」のがとても得意で上手だということ。だから、どんな状況でも価値をつくれる。一方で、日本では「こうでなければダメ」と型にはめようとするプレッシャーが強いから、「自分を変えないといけないのかな」と不安や焦りを募らせてしまうんです。

 岸田さんの場合、どうしてそこから抜け出せたんですか?

岸田:私の場合、「自分を喜ばせる方法」を野生的に知っていたというのが大きかったと思います。他人に認めてもらうことだけにしがみ付かずに、自分自身が何をしたら楽しいかが分かっていたんです。

 「たまには自分にごほうびを」ってよく言われますよね? 私からすると、「自分にごほうびは、常にするのが当たり前」という感覚で。

川原:本来はそれでいいんですよね。でも、なぜそう考えられずに我慢して耐えるのかというと、「苦労したら報われる」という教育や先人たちからの教えに縛られているからじゃないかと、僕は思っています。

 自分が苦手で好きではないことであっても、つらい勉強や仕事に耐えれば、いつかはリターンが返ってくる。その幻想は経済が伸びている時代には成立していたのだけれど、今はもう成立しなくなっている。「ゲームのルールは変わったよ」と理解する必要があるんです。