「こんまり」こと近藤麻理恵は、「片づけ」プロフェッショナルとして世界で最も知られる日本人の一人。麻理恵さんの世界進出の戦略を手掛けてきたのがプロデューサーであり夫でもある私の初の書籍『Be Yourself』が発売されました。
 本書で伝えたかったのは自分らしく輝くことの大切さ。今回はまさにそれを体現している作家の岸田奈美さんをお招きして、「自分らしく輝くために必要なこと」について話を聞きました。『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』もベストセラーとなった岸田さん。彼女の人生のターニングポイントにはいつも「妖精おじさん」が現れるそう。自分らしく輝くために必要な行動についても教えてくれました(構成:宮本恵理子)。

作家・岸田奈美が自分らしく輝く転機で現れる「妖精おじさん」とは?作家の岸田奈美さん(左)と川原卓巳さん(撮影:竹井俊晴)

川原卓巳さん(以下、川原):やっとお会いできました! あなたの文章と生き方の大ファンです。

岸田奈美さん(以下、岸田):こちらこそお会いできてうれしいです。『Be Yourself』を読ませていただいて、めっちゃ共感できるところが多かったです。本の中に、私のことも書いてくださって。

川原:そうそう。「分かってくれる人に出会うまで歩き続けよう」というパートで、「作家の岸田奈美さんは、(コピーライターの)糸井重里さんや(編集者の)佐渡島庸平さんに見いだされて大変身したシンデレラじゃない。その前から自分自身で行動し、彼女らしい魅力を活かせる場までたどり着いただけ」と勝手に紹介させていただきました。

岸田:はい。私は昔から全然変わってないんです。この対談のお話をいただいたときも、「自分を変えよう」というテーマだったらお断りしようかなと思ったのですが、川原さんの本には逆のメッセージが書かれていたので、ぜひお話ししたいなって。

 私もずっと、「自分は変えられないから、ありのままの自分を認めてくれる場所まで行けばいい」と言い続けていて、あるメディアで受けた取材記事のタイトルが「自分に甘い環境に行け」。めっちゃバズったんですけど、当時勤めていた会社の社長からはすごく怒られました。でも私、本当に会社員時代にほめられたことがほとんどなくって。

川原:そうなんですか。自尊心ズタボロだったのでは?

岸田:ズタボロでした。同じ会社で母も働いていたんですが、娘が叱られる姿を見るのがつらかったって言っていました。

 ただ、実は怒られてばかりだった会社員時代と独立した今とで、私の書く文章が変わったかと言えば、そんなことはない。同じなんです。

川原:変わったのは周りの反応なんですよね。

岸田:おっしゃるとおりです。

川原:だから、「つらい」「認めてもらえない」と縮こまる前に、さっさと場所を移したほうがいい。僕は本当にそれを言いたいんです。

岸田:その流れが世の中全体に来ていますよね。2020年に売れた本を見ても、「いかに素の自分を認めてもらえるか」という視点のものが多い気がします。それまでは「自分を変えましょう」と主張する本が多かったけれど、「弱い自分のままでいい」と言ってくれる本が増えてきている。すごくいい流れだなと思っています。

川原:そう言ってもらえてよかったです。岸田さんが環境を変える行動を起こせたきっかけとか、環境が変わる過程で何が起きたのかを、ぜひ聞かせてもらえませんか。