承認のシャワーを
浴びせてくれる人の存在
川原:僕もコルクに所属したくなってきました(笑)。岸田さんは本当にすばらしい出会いに恵まれていますよね。
岸田:「noteで有料マガジンを始める」という発想も、自分では浮かばなかったと思います。
はじめに提案を聞いた時は「え? 私のエッセイにお金を払っていただくのは申し訳なさすぎる」と気が引けたんです。けど、「これは岸田さんの人生を応援したい人が好きで払ってくれるお金。これを基盤にして、収入の心配をしなくてよくなれば、安心して楽しい企画だけに打ち込める。まずは“自分を好きになるための収入基盤”をつくろう」と話をしてもらえて、そうかと納得して始められたんです。
川原:自分を好きになるための収入基盤をつくる。それは本当に大事だと思います。
岸田:記事がバズって名前が知られるようになってからは、たくさん出演のオファーもいただきました。普通のエージェントなら、「出ろ、出ろ」と引っ張り出すと思うんですけど、コルクでは見事にさばいてくれるんです。
私は単純だから「こんな番組に出たい」とか思っちゃうんだけど、佐渡島さんは「バラエティ番組は今はやめたほうがいい。岸田さんの素の魅力を伝えるには、日常を長い尺で撮ってくれるドキュメンタリーに絞るべき」と言ってくれて。普通、そんなこと、言ってくれます?
川原:素材としてではなく、人として見ている。まったく観点が違うんですよね。そして、僕がNetflixで、麻理恵さんのオリジナル番組をつくるときに一番大事にしていたのもそこです。
岸田:ただ一点、つらいのは、そうした選別によって、佐渡島さんのことを悪く言う人がごく一部にいることです。私のことを「ああ、佐渡島派ね」とか言ってくる人もTwitter上にいたりして。川原さんも批判されたりしません?
川原:あるある。ネットで検索したら「こんまり 夫 ヒモ」って出てくるし(笑)
岸田:私も「佐渡島さんがやりたいことをやらされている人でしょ」とか言われて、たまに傷つきます。でも、本当にここにある信頼関係は、当人たちにしか分からんでしょ、と言いたいですね。
川原:僕たちの場合はそもそも夫婦だし、日本から離れたアメリカに住んでいるから、余計な雑音が届きにくい利点はあります。だから、岸田さんもつらくなったら海外移住、おすすめですよ(笑)。オーストラリアとか合うんじゃない?
岸田:実は今、おかんが急に「メルボルンに行きたい」と言い出して。
川原:ほら来た! 日本を脱出したくなったらいつでも言ってください。うまく手配します(笑)
岸田:ありがとうございます。佐渡島さんの名前を出して私が言いたかったのは、とにかく「承認のシャワーを浴びさせてくれる人との出会いは大事」だということ。川原さんの本『Be Yourself』にも書かれてありましたね。(対談の続きは2021年2月13日公開予定)