自動車向け半導体市場を圧迫している生産不足には新旧の問題が絡み合っている。いずれも簡単に解決できるものではない。半導体不足の影響は米フォード・モーターにまで現れている。同社は4日、半導体を十分調達できないことから、1-3月期の生産台数を2割引き下げると発表。米ゼネラル・モーターズ(GM)はその前日、半導体不足を理由とする北米工場の減産計画を明らかにしていた。ドイツのフォルクスワーゲンはこうした問題について既に12月から警鐘を鳴らしていた。インフォテインメントシステムから電源管理、システムモニタリングまであらゆる制御に半導体を必要とする、全ての自動車メーカーに影響が及んでいる。問題の根底には最近の状況と以前からの流れの双方が横たわる。自動車メーカーは新型コロナウイルスの感染拡大初期に、販売台数の急減を受け部品発注を抑えた。その後の需要回復は不運なタイミングに重なった。半導体メーカーはスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の最新機種やデータセンター用の人工知能(AI)チップといった最先端の高価格帯製品向け部品を生産するため、フル稼働していた。業界大手の台湾積体電路製造(TSMC)は先月、決算発表に伴う電話会見で、2020年10-12月期(第4四半期)の売上高に自動車市場が占める比率はわずか3%だったと述べた。スマホ関連は51%、高性能コンピューターチップは31%を占めた。
自動車の半導体不足、解消に「高速ギア」なし
TSMCへの過剰依存と旧型装置の価格高騰が増産の足かせ
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